当時の面影
シルバーレイククラブを立ち上げる切っ掛けとなったシルバーレイクロッジ。
このロッジのオーナー兼シェフの小池克己氏は、元は靴・鞄のスペシャリストでした。 ただ、釣りの方がチョット魅力的だったので、思い切ってフィッシングロッジなる物を作ってしまいました。
その当時(1985年)フィッシングを切り口としたロッジは他に無く、正に草分け的存在でした。
それから14年後のとある日、私とこのロッジで交わした言葉が切っ掛けとなり、 シルバーレイククラブが誕生し、正にこのロッジからシルバーレイククラブの販売がスタートしました。
シルバーレイククラブFirstSHOP
ロッジで、シルバーレイククラブの販売を開始してから4年後、 バッグの反応が、予想以上に良くなってきたことを機に、 ロッジの経営は一時小休止とし、新たに甲府の郊外に シルバーレイククラブFirstSHOPを立ち上げました。40坪ほどのスペースを有効利用した、スコットランド風のパブandレストランと、 バッグの売り場が合体したショップです。
そして、そのSHOPは現在甲府から南アルプス市へと場所を変え、少し重いイメージのブリティッシュからポップなブルーカラーを前面に打ち出したアメリカンスタイルへと表現を変え現在に至っています。
正に、小池氏とそのスタッフのこだわりが色濃く表現された居心地の良い空間です。 とにかく、総てのシルバーレイククラブを見ることが出来るSHOPです。
ロッジオリジナルヘリンボーン
今までのシルバーレイククラブは、ブランドよりはむしろ、鞄の作りと素材、
そして機能を最重要課題とし、使い込んだ鞄を見た鞄好きの人が、思わず追っかけて鞄に見入る。
そんな光景をイメージしながら仕上げてきました。
そしてそれは、今後共シルバーレイククラブの根底に流れる強烈なポリシーですが、このシリーズだけは、チョット特別バージョンと位置づけています。
正面のエンブレムは、糸を引き出し一つ一つ手で結び、ゴム糊で貼り付け、糸が緩まないようにするという、昔ながらの方法で仕上げています。糸も5番の太糸を使い一針一針丁寧にガッチリとした縫製を心がけています。
付属に使用している革も、フルタンニン鞣しの革に少しオイルを入れ、自然に焼けてゆくけれども、染みや汚れが付きにくいという素材に仕上げました。
そして本体の素材は、若かりしころ、小池氏と二人で購入したヘリンボーンのショルダーのイメージをベースとし、今までの釣りの経験をそのまま機能に転化した自信作です。是非使い込んでみてください。
こだわりのエンブレム
エンブレムのステッチを目で追って見てください。 糸の重なりがありません。 それは右写真のようにしているからです。
丁寧な縫製
一針一針気持ちを込めて縫い込んでゆきます。
昔ながらの製法で
一つ一つ裏側に糸を引き出し。 手で結び、その後、ゴム糊で張り付けます。 こうする事によって使い込んでも糸の緩みが出ません。
ロッジオリジナルフルタンニン ※現在は生産を終了しております。
フルタンニン鞣しのヌメ革に、少しオイルを入れ、汚れをつきにくくした革を目の当たりにし、 「いい革だなぁ。でもこの硬さでひっくり返すのは無理かなぁ。」 などと言いつつ、縁の方を丸めてみると自然の見事な皺が入りました。
この商品を作ってくれる事になっている廣瀬氏、 それを見て、「 八方揉みをやればいけるかも」と言い、 四方八方からこの素材を揉み始めました。
一見何の変哲もなかったヌメ革が、独特の皺で、おもしろい表情を呈し、 それも手揉みのため、素材に暖かささえ感じる革に仕上がり始めました。
私はそれを見て、迷う事なくこの素材をロッジオリジナルレザーヴァージョンの素材に決めました。
裁断をした後、1枚1枚を手で揉んで仕上げ、 それから1つ1つの行程に入るという、正に手造りというにふさわしいシリーズの誕生です。
1つ1つのデザインを、ジックリと仕上げてゆきたいと思っています。
ただ単価が高額なためか、なかなか売場に定着しないのが私の悩みです。
しかし、この商品を使い込んだユーザーの方から嬉しい写真が届いています。
-埼玉県に住む佐藤さんより-
「ただ、毎日使っていたら、こうなりました。」 との事
専用のオイルも使用していないそうです。 それにしてもすごいツヤが出ています。
さて、ではなぜそうなったのか、その理由を次項でご説明いたします。
栃木レザー
さて、ロッジオリジナルに使用されている革は、 栃木レザーでピット鞣しで生産されています。タンニン槽に浸け込みながら、丁寧に仕上げられています。 仕上げまでに1ヶ月半~2ヶ月ほどの時間を要するため一旦品切れになると、 中々フォロー出来ないのもこの商品の特徴です。
しかし、使い込んだ後の感触は筆舌につくしがたいものがあります。大切に使えば使うほど革の表情が変わり、「自分仕様」になってゆく。 しかし、こんなステキな”モノ”が、まだ世の中に存在する。素晴らしいことだと思います。
さて、そのピット鞣し。簡単ではありますが、鞣しの工程を下にまとめてみました。商品選びの参考になれば幸いです。
ピット鞣し
①塩抜きと脱毛
塩抜きと脱毛をこのドラムで行います。
②ピットにつける
ピット(水槽)につける。タンニンの薄い槽から徐々に濃い槽へと浸けてゆき、 芯までタンニンを染み込ませてゆきます。
③洗い
余分なタンニンを洗い流し再び油を革に入れます。
④シワを伸ばす
セッティングマシーンでシワを丁寧に伸ばします。
⑤自然乾燥
機械ではなく、あくまで自然乾燥にこだわっています。
⑥染色
一枚一枚手作業で丁寧に染色してゆきます。
⑦自然乾燥
染色が終わったら、自然乾燥させて出来上がりです。
1ヶ月半~2ヶ月の時間をかけて、 植物タンニンを浸み込ませながら一枚一枚の革を鞣してゆきます。 そして、出来上がってきた革の香りの何とスガスガしいことか…そんな革の特徴を下に列挙してみます。
- 独特の張りとコシの強さがあります。(ピット樽に漬け込みながら、ジックリとタンニンを浸み込ませてゆくため)
- 伸びにくい性質(ガッシリとした作りを要求されるビジネスバッグや、アウトドア等の商品に向いています。)
- 大切に使い込めば使い込むほど独特の風合いが出ます。
- 唯一、熱にはあまり強くありませんのでご注意下さい!!
※特にこのレザーには、シルバーレイククラブ専用のオイルを使用しながら使い込むことをお勧めします。